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2011年12月21日

クロディーヌ・ロンジェ『ラヴ・イズ・ブルー』

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今回は60年代のトミー・リピューマのプロデュース作品、クロディーヌ・ロンジェの『ラヴ・イズ・ブルー』です。クロディーヌの初期3枚はどれもオススメなのですが、珍しく「フー・ニーズ・ユー」でトミー・リピューマの歌声が聴けるのでこのアルバムにしてみました。トミー・リピューマ、けっこうちゃんと歌ってますね。まさしくA&M的な歌い方というか、ちょっとニック・デカロにも似ててソフトロックしてます。しかしよく考えてみたら自分がプロデュースしている女性歌手の作品に自分のヴォーカルを入れてデュエットしてしまうって何という権利濫用(笑)まあ、雰囲気をこわしてないからいいんですけど。クロディーヌはフランスからやってきてアメリカで成功した歌手。海外からやってきて拙い英語で(僕にはどの程度拙いかわかりませんが)ささやくように歌うという意味では、アストラッド・ジルベルトに似たタイプとも言えるかな。アストラッドはささやくように歌ってもちょっと大人っぽい感じがあるのに対し、クロディーヌはロリータ・ヴォイスで、当時のA&Mの夢見るようなサウンドにぴったりですね。このアルバムにはジョビンの「ヂンヂ」が入ってますが、ほんとにボサノヴァのサウンドにバッチリはまってます。こうなってくると、トミー・リピューマがプロデュースしたアストラッドのアルバムも聴きたかったなと夢想してしまいますが、これはかなわぬ夢ですね。このアルバムの最大の聴き所はB面のラスト2曲、「スノー」から「イッツ・ハード・トゥ・セイ・グッバイ」の流れ。まさに今のような真冬にピッタリの超ドリーミーサウンドです。



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2011年12月15日

ジョアン・ジルベルト『アモローゾ』

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前回はマイケル・フランクスの『スリーピング・ジプシー』について書きましたが、今回は同じトミー・リピューマのプロデュース、クラウス・オガーマンのストリングスアレンジによるジョアン・ジルベルトの『アモローゾ』をとりあげてみます。この2枚のアルバム、リリース年とレコード会社も同じなので兄弟アルバムと言っても過言では無いくらい連続して聴いてもシームレスに楽しめます。実際お店でも続けてオーバーラップするようにかけることが多いですが得も言われぬ気持ち良さです。(と、少なくとも僕は思ってます)ここで、トミー・リピューマに少しふれてみたいと思います。僕は中学くらいから音楽を意識的に聴き始めましたが、現在に至るまでトミー・リピューマの作品にお世話になりっぱなしな気がします。まず1980年代にはリアル・タイムでニール・ラーセンやラーセン・フェイトンバンドを聴いていました。後になって気付きましたがネオアコ時代にはアズテックカメラやエヴリシング・バット・ザ・ガールのプロデュースをしていたし、ソフトロックにはまった時はロジャ二コ、クロディーヌ・ロンジェ、クリス・モンテス等々、もちろんニック・デカロの『イタリアン・グラフィティ』も素晴らしいし、ボサノヴァを聴くようになってジョアン・ジルベルトに至る。これら全てをプロデュースしているってなんとも凄すぎます。この世にトミー・リピューマがいなかったらこれらの作品が生まれなかったと思うと音楽ファンとして恐怖すら感じる次第(笑)さて、『アモローゾ』に戻りますが、そんな達人がプロデュースしているので悪いわけがありませんね。ジョアン・ジルベルトの凄みを感じるアルバムは他にもありますが、純粋に音楽作品、ポップスとしての心地良さはこの『アモローゾ』が最高だと思っています。このアルバム、特筆すべきはジョアンがポルトガル語、英語、イタリア語、スペイン語と4カ国にわたる言語で歌っていること。言われなければ気付かないほど「ジョアン語」になっているので全く違和感が無いのですけど(笑)いやー、なんか今回はジョアンよりもトミー・リピューマ話になってしまったな…。



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2011年12月07日

マイケル・フランクス『スリーピング・ジプシー』

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ずいぶん間が開いてしまいましたが、今回取り上げるのはAORの金字塔、マイケル・フランクスの『スリーピング・ジプシー』です。実は僕、マイケル・フランクスのことはずっと聴かず嫌いでこのアルバムをまじめに聴いたのはつい最近のことなんです。なぜ聴かず嫌いだったのかというと、このアルバムに入っている彼の代表曲「アントニオの歌」が苦手だったからなんですね。以前ボサノヴァの弾語り活動をしていた時、たまに「アントニオの歌」をリクエストされることがあって、まあ練習もしたこと無かったから断っていたのですが、どうもマイナー調の曲調もあまりピンとこなくてその後も歌うことはありませんでした。ブラジルの曲至上主義みたいな感じで自分の頭も堅かったんですね。そして月日は流れ、レコード屋でアナログ盤を見ている時この『スリーピング・ジプシー』がかなり安く売っていたのであまり期待もせず買ってみたのでした。そして針を落としてみてビックリ!なんと素晴らしいアルバムなんでしょう。トミー・リピューマのプロデュースによるジャジーかつファンキーでありながら、適度にポップで洗練されたサウンド、それを支えるクルセイダーズの助っ人達による絶妙なバッキング、そしてクラウス・オガーマンによる気高いオーケストレーション。全てが完璧。収録曲のうち2曲はリオ・デ・ジャネイロで録音されていて、そこにはジョアン・ドナート、エリオ・デルミーロ、ジョアン・パルマなども参加しています。(なぜか「アントニオの歌」はアメリカ録音です)この後AORに興味を持って少しずつ探っていますが、今のところ『スリーピング・ジプシー』を超えるアルバムには出会っていません。マイケル・フランクスについてもこの周辺のアルバムを徐々に聴いてますけどやっぱり『スリーピング・ジプシー』が最高。何かマジックが働いていたのでしょうか。ちなみに「アントニオの歌」のアントニオはアントニオ・カルロス・ジョビンのことで、なかなか深い歌詞になっています。(「アントニオの歌 訳詞」でググるといくつか読めます)あと『スリーピング・ジプシー』とはアンリ・ルソーの絵画『眠れるジプシー娘』のことみたいで、マイケル・フランクスは後のアルバム『タイガー・イン・ザ・レイン』でジャケットにルソーの絵を使っているところからも、かなりのアート好きと思われます。1stの『アート・オブ・ティー』も日本語にすると「茶の湯」ですしね。



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2011年11月08日

イヴァン・リンス『今宵楽しく、そして、ある夜』

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イヴァン・リンスのこの2in1のCDはリリースされた当時に買ってもう数え切れないくらい聴いてるし、バルキーニョでも頻繁にかけてきました。気に入ったCDでアナログ盤が存在するモノはやはりアナログでも聴きたいので、ずっと探していたんですがなかなか見つからなかったんですね。ところが最近たて続けに『今宵楽しく』と『ある夜』両方が手に入りとてもうれしくて、またよく店でかけています。この時期のイヴァン・リンスの作品は曲の良さはもちろんとして、バックのジルソン・ペランゼッタのアレンジも素晴らしく、また1970年代中盤という最も好きなサウンドの時代ということで、自分にとって特別な意味を持っているのです。実は同時期のイヴァン・リンスのアナログ盤『Nos Dias de Hoje』というアルバムを以前から持っていたのですが、最近そのリリース年を調べてみて少し驚きました。なんと『今宵楽しく』と『ある夜』の間にリリースされているのですね。2in1だからてっきり時期が連続したアルバムだと思い込んでいました。確かに『今宵楽しく』と『ある夜』はアルバムとしてのムードが似ていて通してかけても違和感が無いのですが、『Nos Dias de Hoje』はちょっとロックっぽいというか、荒削りというか異質な感じがします。ジャケットも前者2枚は共通したイメージですが『Nos Dias de Hoje』はイヴァンの逮捕状態の写真でちょっと不穏な感じ。当時のレコード販売状況がどうだったかわかりませんが、『今宵楽しく』を出してけっこう売れて、ちょっと趣向を変えて『Nos Dias de Hoje』を出したらコケたので以前の路線に戻して『ある夜』を出したって感じでしょうか。完全に憶測ですが、前者2枚がダブルジャケットなのに対し『ある夜』はシングルジャケットというところが、僕にそんな経緯を想像させたりします。



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2011年10月11日

スエリ・コスタ『スエリ・コスタ』(1975)

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スエリ・コスタというブラジルの女性シンガー・ソング・ライターはご存知でしょうか。彼女のアルバムを聴いた事が無かったとしても彼女の曲をいろんな人が歌っているので、作品は聴いた事があるかもしれませんよ。たとえば僕が好きなのはエリス・レジーナの『エリス』(1972)に入っている「20 Anos Blue」。スエリ・コスタとヴィトル・マルチンスの作品です。シモーネもスエリ・コスタの曲をたくさん歌っていますね。彼女の作品の特徴をひとことで表現すると「地味」(笑)になるでしょうか。あと、彼女自身の歌はお世辞にも上手いとは言えません。ソングライターシンギングというかなんというか、まあ、聴いていただければわかります。作品が地味で歌が下手って、全然良いところが無さそうですが実はとても魅力的なんですよ。たとえば今回とりあげている1stアルバム、ルピシニオ・ホドリゲスの名曲「ヌンカ」以外は全て彼女のオリジナル曲ですけど、キャッチーなところが全く無いのに心にじわじわと染み入ってくる曲ばかりです。あと、このアルバム、バックがSOM IMAGINARIOです。トニーニョ・オルタ、ヴァギネル・チゾ、ノヴェリ、パウロ・ブラガ、二ヴァルド・オルネラスがフル出場です。悪いわけありませんよね。当然ミナス系音楽のファンは必聴です。今書いていて気付きましたがミルトン・ナシメントの傑作『ミナス』と同年発表です。同じオデオンですしマジックが働いていても不思議ではありません。




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2011年10月06日

アナ・マゾッティ『アナ・マゾッティ』

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最近1970年代の人力グルーヴが聴けるアナログ・レコードを買うことにはまってしまい、日々そんな音がするレコードを追い求めているわけですが、これなどまさに希望する感触にバッチリ合致する作品なんです。とはいうもののこのオリジナル・ブラジル盤LPはレアで高いので持ってないんですが…。レコ話は置いておくとして内容に移ると、これはアナ・マゾッティという女性歌手のアルバムで演奏はデビュー前のアジムスというのが話題の作品。ただよくクレジットを見るとドラムはイヴァン・コンチではなく、ホミウド・T・サントスという人で、この人がプロデュースもしています。アナ・マゾッティは既に亡くなっているようですが、ピアニストでもあったようで、収録曲も多くがアナ自身が作曲しています。カヴァー曲で秀逸なのはなんといっても「フィール・ライク・メイキング・ラヴ」。この曲を聴くためだけにアルバム買っても損はしませんよ。サウンド的にはやはりジョゼ・ホベルト・ベルトラミが弾くフェンダーローズ、モーグ&アープシンセ、オルガン、メロトロン等のヴィンテージ・キーボードが気持ち良すぎ。まあ、当時はヴィンテージでもなんでもなかったわけですが、今聴くとホントにかっこいんですね。アジムスや70年代フュージョン、AORが好きなひとには超オススメです。ただ「濃い」ブラジル音楽を聴きたい人にはちょっと微妙かな。僕は大好きなアルバムです。




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2011年09月28日

ナナ・カイミ『ナナ・カイミ』(1979)

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あまりにナナ・カイミのことばかり書いてるとナナ・カイミ専門店と思われかねないので(笑)一旦今回で休憩しようと思います。さて、この1979年作はEMIに移籍しての1作目ですが、これまでの流れを踏襲しつつもさらに包容力を増していて、なんか安心感に包まれるというか、落ちつくというか、なかなかこんな気分にさせてくれる歌手って他にいないなぁとあらためて思わせられる素晴らしい作品。最高なのはやはりA面3曲目に収録されている「クルビ・ダ・エスキーナ2」で、僕はこの曲のベスト・トラックだと思っています。重ね重ね書きますが、バックを固めるミュージシャン達、ジョアン・ドナート、トニーニョ・オルタ、ノヴェリ、ルイス・アルヴェス、ホベルチーニョ・シルヴァ、ダニロ・カイミ、そして全てを束ねるドリ・カイミの演奏は「自分が目立ちたい」という我の強さが全く無く本当に良いです。大人の演奏というかなんというか、MPBという音楽の最良の部分が凝縮されていると思います。最近70年代アメリカのフュージョン系の派手な音をよく聴いているので、それらと比べると地味にさえ聴こえるけどこれが心に染み渡るんですね。日本人のわびさびの世界に通じるものさえ感じます。そういえばジョアン・ジルベルトの演奏にも同様の感覚がありますが、これも一種のサウダーヂ感でしょうか。ともあれこのアルバムはCDでも2in1などで比較的入手しやすいのでぜひ聴いてください。



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2011年09月14日

ナナ・カイミ『ナナ』(1977)

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レーベルをRCAに移して1977年にリリースされた作品。今回はドゥルヴァル・フェヘイラがクリエイティヴ・ディレクターで、アレンジ等はドリ・カイミがやっています。やっぱ、ドリ1人でプロデュースするより、柔らかみが増すのかな。前作『ヘナセール』より聴きやすい印象です。相変わらず参加ミュージシャンは豪華で、トニーニョ・オルタ、ネルソン・アンジェロ、ノヴェリ、ホベルチーニョ等ミナス系の人達ががっちりバックを固めています。あと、ピアノはおなじみのジョアン・ドナート。パパ・カイミや、イヴァン・リンスも自作曲で参加してますね。このアルバムもアナログ盤の中袋がジャケになってるCDがあったりして、これまた混乱してしまいます。しかし70年代半ばのサウンドってほんとに素晴らしいなぁ。レコーディングに関しては永遠にこの時代のテクノロジーで止まっていたら良かったのにと思ってしまいます。


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2011年08月24日

ナナ・カイミ『ヘナセール』(1976)

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前々回書いた『ナナ・カイミ』(1975)に続いてリリースされたのがこのアルバム『ヘナセール』。多分僕が10年くらい前に初めて買ったナナのアルバムだったと思うのですが、当時聴きまくりましたね。前作がドゥルヴァル・フェヘイラとドリ・カイミのプロデュースで比較的軽やかなイメージだったの対し、こちらはドリ・カイミの単独プロデュースで全体的に重厚なイメージ。特にミルトン・ナシメントの曲は鬼気迫るものがあり、癒しのナナのアルバムにしては異色な感触を持った作品です。グレー基調のジャケット写真がそれを的確に表しているよう。参加ミュージシャンはピアノにジョアン・ドナート、ギターにネルソン・アンジェロ、ミルトン・ナシメント、ダニロ・カイミ、ドリ・カイミ、ベースはフェルナンド・レポラーセ、ノヴェリ、ドラムはホベルチーニョ・シルヴァ、etcと鉄壁のメンツを揃えていて、最高の70年代MPBサウンドが堪能できます。やはりかなりミナス寄りのサウンドと言えるかな。



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2011年08月18日

ナナ・カイミ『ナナ・カイミ』(1973)

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ナナ・カイミは1965年にエレンコ・レーベルに1stアルバム『ナナ』を録音していますが、今聴くとちょっと歌い方が硬い感じがするのは僕だけかな。やっぱりなんと言ってもナナが本領を発揮しはじめるのはこの、アルゼンチン・トローバ・レーベルに残した2ndからだと思うのです。このアルバム、ブラジルでは『アトラス・ダ・ポルタ』ってタイトルになって77年にCIDレーベルから出てるので注意が必用。ジャケも違います。CDだと『エン・ブエノス・アイレス』ってタイトルになって曲順も変わりさらにジャケがアナログと違ってたりします。ジャケが都合3つあるってことかな。Cliquemusicっていうブラジル音楽解説サイトがまた、このCDのジャケットを違うアルバムに貼り付けてたりするから更に混乱を招いていて、もう何が何だかわからなくなってます。まあ、そんなことはさておき内容はこの後に続く傑作群を先取りしたとてもしなやかな70年代MPBサウンドそのもの。ジョアン・ドナートのフェンダー・ローズ&エリス・バンドでおなじみのエリオ・デルミーロのギターが奏でるハーモニーが絶品。その上で気持ち良さそうに歌うナナの包容力満点のヴォーカルに癒されます。前アルバムから8年の間に最初の夫との離婚、ジルベルト・ジルとの恋愛・結婚・離婚、そして様々なショーやツアーを経験して肩の力が抜けたというか、深みが出たというか、何にせよ唯一無二のナナ・カイミの世界を2ndアルバムにして既に確立しているのです。脱帽。




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2011年07月20日

ナナ・カイミ『ナナ・カイミ』

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ナナ・カイミの声ってどうしてこんなに僕を癒してくれるのでしょう。以前からナナは好きでしたがこのところ一日一回聴かないといられないくらい中毒的状況になっています。この魅力を未体験の人に伝えるのはどうしたらいいんでしょうね。そういえば今思い出しましたが15年くらい前にブラジルに旅行した時タクシーの運転手さんが自分の好きな歌手はナナ・カイミだって言ってましたが、当時まったく興味なかったし理解不能なのでした。そりゃそうでしょう、ナナのCDを日本で買おうと思ったらだいたいテキトーなベスト盤くらいしかなくて、しかもすんげー太ったおばちゃんがジャケットに写ってるわけで、まずその時点で手を出してみようとは思わないわけです。まずそれでブラジル音楽ファンになりたての人は10年くらい棒に振ると思います。しかしある日気づくのですねナナの魅力に。他のボサノヴァやMPBのおいしいところをあらかた聴き終わって、まだ聴いてないのはナナ・カイミくらいかな?と思った時にその時がやってくるのです。なんでこれを最初から聴いておかなかったんだと。でもしょうがないですよね。ジャケがおばちゃんパーマなんですから(笑)。そんなあなたにおすすめするのがこの1975年のアルバム『ナナ・カイミ』です。(しかしどうしてブラジル人はアルバムのタイトルに単なる名前を付けたがるのでしょうか。ややこしくて仕方が無いです)いきなり1曲目がミルトンの名曲「ポンタ・ヂ・アレイア」です。しかも単なるカヴァーではなくバックのミュージシャンがちゃんとミナス系の人たちなのでサウンドは完璧です。他にもトニーニョの「ベイジョ・パルチード」も入っているのでミナス系ファンは必聴でしょう。もちろん父、ドリヴァル・カイミの曲「ソ・ロウコ」等も歌ってますし、ヴィニシウスの名曲「メド・ヂ・アマール」も入ってます。というか全曲聴きどころ満載です。僕は無人島ディスク級の名盤だと思っています。




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2011年07月14日

ロー・ボルジス『ア・ヴィア・ラクテア』

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前回ミルトン・ナシメントの『ミナス』の事を書いて、自分はある種のミナス音楽をとても愛しているんだなと再確認したので、続けてロー・ボルジスを取り上げてみたいと思います。ミナス派を代表するアルバム『クルビ・ダ・エスキーナ』(72)はミルトンとロー・ボルジスの共同名義で、そこに収録された今やスタンダードとなった曲、例えば「トゥドゥ・キ・ヴォセ・ポヂア・セール」「オ・トレン・アズール」(ジョビンもカヴァー)「クルビ・ダ・エスキーナ2」などがロー・ボルジスの作曲だと言えば、ミナス派の中での彼の重要度がわかってもらえるでしょうか。おおざっぱな印象なのですが、ミルトンの曲が力強く野性的かつエキセントリックな趣を持っているのに対してロー・ボルジスの曲は、少し繊細で「青春」を感じさせるナイーヴな曲が多いです。歌声もミルトンに比べてソフトですね。このアルバム『ア・ヴィア・ラクテア』は「天の川」という意味で彼の2枚目のソロアルバム。『クルビ・ダ・エスキーナ』の直後に出したファーストがナイーヴながら少し荒削りな印象だったのに対し、7年後の79年に出たこのアルバムは余裕を感じさせる完璧な出来映え。『クルビ・ダ・エスキーナ』で共演したミルトンがエキセントリックな方向性を突き詰めて出来たのが『ミナス』とすれば、繊細で浮遊感のあるポップな音楽性を追及したのがローのこのアルバムなのではないでしょうか。『クルビ・ダ・エスキーナ』にも収録されていた「クルビ・ダ・エスキーナ2」が歌詞を与えられてここでまた演奏されていますが、これが出色の出来映え。他の収録曲を聴いてもあらためてローの作曲能力の高さを思い知らされます。エリス・レジーナの歌でも有名な「ヴェント・ヂ・マイオ」も素晴らしいですね。



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2011年07月06日

ミルトン・ナシメント『ミナス』

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さて、そろそろこの辺りからしばらくブラジル音楽に入っていきたいと思いますが、まず最初に結論を書いてしまうと、僕がもっとも重要なブラジル音楽のアルバムと思うのはこのミルトン・ナシメントの『ミナス』です。ボサノヴァの店/HPをやっていながらボサノヴァを選ばないというのを意外と思われるかもしれませんが、現時点の素直な感想を述べればこのアルバムになります。僕はボサノヴァからブラジル音楽を聴き始めたので、もちろん今もボサノヴァが好きですし毎日店で聴いていても飽きるということは無いのですけど、やはりボサノヴァというのは60年代前半の音楽であり、アルバムという単位でストーリーを作っているものは少ないと思うのです。ボサノヴァはビートルズが1967年に『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』でコンセプトアルバムという概念を作る前の世代の音楽なんですね。だから良いとか悪いとかの問題では無いのですが、やはりちょっとその部分でボサノヴァのアルバムは物足りない部分を感じるのは否めないところです。だからこの1975年の作品『ミナス』を聴いた時、ロック世代の僕にも納得できる「アルバムとして聴けるブラジル音楽」に初めて出会えた気がしたのです。正直『ミナス』は『サージェント・ペパーズ』に匹敵するコンセプトアルバムだと思うし、全世代の音楽ファンに聴かれるべき傑作だと思うのです。

ミルトン・ナシメントはボサノヴァ周辺から出て来たアーティストですが、そのサウンドはボサノヴァとは違ったものを感じます。一番大きな違いはその力強い歌声でしょうか。「ブラジルの声」と称されるあの声です。そしてさらにその神々しい歌声をバックアップする浮遊するミナスサウンド、この融合が最高潮に上り詰めた瞬間がこの『ミナス』なのです。ブラジル内陸部ミナスの、リオとは違ったハーモニー感覚、全ての音楽ジャンルからの影響を感じられる深遠なサウンド、特にトニーニョ・オルタのギターやヴァギネル・チゾのキーボード&オーケストレーションのハーモニー感覚が、パウリーニョ・ブラガのドラム、ノヴェリのベース等によるリズム隊とせめぎあうサウンドは唯一無二の崇高な世界を現出しているのです。僕はぜひ他ジャンルの音楽ファンにこそこのアルバムは聴いてほしいと思います。CDで再発された時にビートルズの「ノルウェイの森」のカヴァーが収録されましたが、これも原曲のイメージを損なわないままにその世界を何倍も深化させていて、さすがビートルズファンのミルトンと言うべき仕上がりになっています。



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2011年06月27日

タヒチ80『パズル』

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もうこのアルバムが出てから10年以上も経つのか。時間の流れは早いものです。ラジオで「ハートビート」がかかっていて気に入り聴き始めましたが、ゾンビーズに歌声が似てるなぁと思ったら、ヴォーカルのグザヴィエ・ボワイエはコリン・ブランストーンを愛しているとのこと。納得。フランスのバンドなのに英語で歌っているので良い意味でまったくフランスらしさは感じられませんね。とにかくポップ。夏になると聴きたくなるアルバムです。ジャケもカワイイし。



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2011年06月23日

ステレオラブ『エンペラー・トマトケチャップ』

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タイトルが寺山修司の前衛映画『トマトケチャップ皇帝』からとられていると言われても観た事がないので何もコメントできませんが、このアルバムはサウンドが最高!アナログシンセやオルガンとからみあうロックビート、フランス語の歌詞、ラウンジ風の曲調、女性コーラス、どれもセンスが良くってしかも聴いた事が無かったサウンド。特にアナログシンセとオルガンは一番おいしい部分を強調したような使い方をしていて、使われている楽器の音的には全て70年代にすでにあったものなのにかかわらず、70年代には作れなかったものになっている。アイデアの勝利ですね。トータスのジョン・マッケンタイアがプロデュース。



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2011年06月20日

エヴリシング・バット・ザ・ガール『悲しみ色の街』

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ずっとネオアコなサウンドを作っていたエヴリシング・バット・ザ・ガールがドラムンベースを大幅に取り入れて作ったアルバム。当時ベン・ワットが「ドラムンベースは21世紀のボサ・ノヴァだ」と発言していましたが、このアルバムに限り僕も同意したいと思います。他のドラムンベースはちょっと違うと思いますが…。ドラムンベースは今ではちょっと下火の感じですが、ブラジルでは比較的今でもやっている人が多いのはやはりブラジル音楽の複雑なリズムに共通点があるからでしょうか。ベン・ワットの直感は間違っていなかったということですね。今聴いてもこのアルバムのプログラミングの緻密さはすごいなぁと思います。




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2011年06月17日

μ-Ziq『ルナティック・ハーネス』

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エイフェックス・ツイン、スクエアプッシャー、ルーク・ヴァイバート、そしてこのμ-Ziqらを、彼らの活動地からコーンウォール一派というらしい。確かにこのアルバムは部分的に聴けばエイフェックスツインに似ているけど、エイフェックスほどの暴力性が無いので聴きやすいです。異様に細かく打ち込まれたドラムンベース調のリズムの上で、壮大なシンセ音が鳴り響く様はとても美しく90年代テクノの代表作のひとつと言っていいのではないでしょうか。



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2011年06月13日

竹村延和『チャイルズ・ヴュー』

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竹村延和はエレクトロニクスと生楽器をうまくミックスするアーティストで、彼のユニット、スピリチュアル・ヴァイブスでジャズやボサノヴァのリズムを取り入れた世界を展開していましたが、この1stソロでもさらに様々なリズム・音色を駆使して心地よい世界を作り出しています。静的でどこか懐かしさを感じさせるサウンドが素晴らしいですね。彼はレイハラカミと同様ずっと京都で音楽活動を行っていたようですが、今はドイツに引っ越したようです。今はどうかわかりませんが高木正勝も京都在住らしいですしエレクトロニカ系アーティストと京都という場所は相性がいいのでしょうか。



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2011年06月07日

レイ・ハラカミ『アンレスト』

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テクノとか興味の無い人が聴いても、その音楽性の高さと独創性を認めざるを得ない孤高のアーティスト、レイ・ハラカミ。これは彼の1998年の1stアルバムですが、もうこの時点で完成されていますね。当時僕も聴き倒しました。心地よい音色とコード感。ふしぎ感を増長するベンドする音程。そして彼の音楽がいまだにDTM音源SC-88ProとMac OS9のEZ Visionで作られているというのも驚異的(2011年の現在も)。2006年にお台場の日本未来科学館に常設されているプラネタリウムMegastar-II cosmosのコンテンツ『暗やみの色』で彼の音楽が使われるということで観てきましたが本当に音楽と星空の映像が合っていて最高でした。







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2011年06月02日

プリズム『メトロノーム・メロディ』

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そこのおとうさん、プリズムといっても和田アキラのプリズムじゃありませんよ(笑)こちらのプリズムはテクノ・アーティスト、ススムヨコタのソロ・ユニットのプリスム。基本ハウシーなリズムによるテクノですが、ガンガン踊る感じではなく家で小さな音で流していても違和感の無いシャレオツなサウンドです。テクノってなぜかちょっと暗くて無機的な方向へ走ってしまう人が多い気がするのですが、この人のサウンドは明るくって楽天的なところがいいですね。(これはさすがにYouYubeで動画が見つらなかったので「君のラジオ」を貼っておきます)

http://kimi.la/artist/Susumu%20Yokota


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